2026年4月1日、日本では離婚後の子どもの養育に関する民法等の改正が施行されました。
今回の改正は養育費だけではなく、親権、監護、親子交流、財産分与など、離婚後の家族に関する幅広い制度の見直しです。
その中でも、私が特に気になったのが養育費です。
私自身、子どもが生後4か月の頃に離婚し、その後12年間、養育費を受け取ることなく育ててきました。
だからこそ、「日本の制度はどこまで変わったのか」「これで本当に子どもを育てる側が守られるのか」を知りたいと思いました。
そして調べてみると、海外では日本より行政が前面に立って、養育費の徴収や未払い対策を行う国がありました。

はじめまして、紗良です。
仏式自然療法・植物療法研究家として、フランスの植物療法や精油文化について学び、発信しています。
✅ 2026年4月に日本で何が変わったか
✅ 法定養育費とは何か
✅ 先取特権とは何か
✅ 日本の制度の限界
✅ フランス・英国・豪州・米国の未払い対策
✅ 養育費を受け取らなかった親として感じること
日本で新しく導入された「法定養育費」
これまで、離婚時に養育費の取り決めをしないまま別れてしまうと、養育していない親(非養親)に対して一定額を請求する仕組みはありませんでした。
しかし、2026年4月からは、離婚時に養育費の取り決めがない場合でも、一定期間について「法定養育費」を請求できる制度が導入されました。
法定養育費は、子ども一人につき月額2万円です。
ただし、これは正式な取り決めができるまでの暫定的・補充的な仕組みです。
法定養育費=養育費は全国一律2万円になったという意味ではありません。
本来の養育費は、父母の収入や子どもの人数・年齢など、個別事情を踏まえて決めます。
取り決めがあれば、一定額まで差し押さえやすくなった
もうひとつ大きく変わったのが、養育費債権への「先取特権」です。
改正前は、養育費の約束があっても財産を差し押さえるには、公正証書や調停調書などの「債務名義」が必要になる場面がありました。
改正後は、一定額の養育費債権に先取特権が認められ、条件を満たせば債務名義がなくても差し押さえができる仕組みになりました。
先取特権が認められる上限は、子ども一人につき月額8万円です。
法務省は、改正後、一定額までを債権名義なしで財産を差し押さえられ、一般債務者より優先して弁済を受けられると説明しています。
ただし、2026年4月より前に離婚した人は注意
制度が始まったからといって、すべての過去の離婚に法定養育費が適用されるわけではありません。
法定養育費は、2026年4月1日より前に離婚したケースには適用されません。
一方で、すでに養育費の取り決めがある場合の先取特権については、施行日以後に発生する定期金に適用される経過措置があります。
それでも日本はまだゆるいと感じた
制度が前進したこと自体は、意味があることだと思います。
でも、12年間、実際に養育費を受け取ることなく子どもを育ててきた親として見ると、結局、受け取る側が動かなければならない部分が多いと感じます。
法定養育費ができた。差し押さえがしやすくなった。
でも誰が未払いの把握をするのか。
誰が相手の勤務先や財産を調べるのか。
誰が継続して回収するのか。
子どもを育てながら、その手続きまで養育している親が担うのであれば、負担の偏りは残ります。
そこで、海外ではどうしているのかを調べてみました。


フランスは行政が間に入って養育費を回収する
フランスにはARIPAという養育費の回収・仲介を行う仕組みがあります。
養育費が決められると、ARIPAが支払う親から養育費を回収し、受け取る親へ送金する「金融仲介」が利用できます。
2023年以降、裁判等で養育費が決められたケースでは、この仲介が原則として自動的に導入されます。
未払いがあれば、受け取る側が毎月相手に催促するのではなく、ARIPAが回収手続きに関与します。
ARIPAは無料で、支払親から徴収して受取親へ送金します。
私はこの「父母の間に行政が入る」という発想自体が、日本と大きな違いで魅力的だと感じます。
イギリスでは給与から直接徴収できる
イギリスにはChild maintenance service(CMS)があり、支払いが滞ると給与や年金から直接養育費を差し引くことができます。
雇用主にはCMSから命令された額を給与から控除し、CMSへ送金する法的義務があります。
雇用主が必要な情報提供や送金を怠った場合、罰金や裁判につながる可能性があります。
さらに、支払いが続かなければ強制執行部門へ送られ、財産処分や場合によって刑事的な制裁につながる可能性もあります。
私は子どもの生活を守るために、何としても支払わせるというこの制度も素晴らしいと感じます。
オーストラリアでは養育費を払わないと出国できないこともある
オーストラリアでは、養育費の滞納があり、適切な支払い計画にも応じない場合、行政がDeparture prohibition orderを出すことがあります。つまり、養育費を払わないまま海外へ出国することを止める制度です。
しかも、これに裁判所の命令は不要です。
滞納分を支払うか、行政と適切な支払い計画を結ぶまで出国できない場合があります。
さらに、行政は税還付の差し止めや銀行口座等への回収措置も取れます。
養育費の未払いを元夫婦間の問題ではなく、公的に回収すべき債務として扱っているところが、養育する側の親として心強いです。
アメリカではパスポートまで制限される
アメリカでも、養育費の未払いに対して行政上の強制措置があります。
特にわかりやすいのはパスポートです。
養育費の滞納額が2,500ドルを超えると、原則として新しい米国パスポートを発給してもらえません。
2026年現在は、有効なパスポートの取消しが行われる場合もあります。
日本と海外の養育費未払い対策を比較


| 国 | 行政の主な関与 | 未払い時の例 |
|---|---|---|
| 日本 | 法定養育費、先取特権、 裁判・差押さえ制度 | 一定額まで差押えしやすくなった |
| フランス | ARIPAが徴収・送金仲介 | 未払い回収に行政が介入 |
| イギリス | CMSが管理・徴収 | 給与・年金から直接控除 |
| オーストラリア | Services Australiaが徴収 | 銀行等から回収、出国禁止 |
| アメリカ | 州・連邦の行政機関 | パスポート制限など |
国によって家族法、税、社会保障制度が違うため、どの国が一番厳しいと単純に順位をつけることはできません。
ただ、比較して見えてくるのは、どれだけ第三者として行政が支払いを管理・徴収してくれるかの度合いが変わってきます。
払ってもらう努力まで養育親に背負わせる日本
養育費は元配偶者へのプレゼントではなく、子どもの生活費です。
子どもには食事、住居、服、学費、医療、日々の生活があります。
子どもを育てている親は、それらを毎日支払います。
支払う側の調子に関係なく、子ども生活を守らなくてはいけません。
なぜ受け取る側が、相手を探し、催促し、勤務先や財産を調べ、手続きまでしなければいけないのかと甚だ疑問です。
海外のように行政が最初から間に入り、給与から強制的に徴収し、場合によっては刑事罰や出国制限までしてほしいものです。
支払えない事情と払わなくてもいいは別
もちろん病気、失業、障害などで本当に支払い能力がないケースもあります。
だから、支払えない人を罰すればいいと簡単に言えるものでもありません。
支払えるのに払わない人と支払いたくても払えない人を制度がきちんと区別することが必要だと思います。
そして、後者の場合でも、子どもの生活が不安定にならない仕組みを社会側で用意することです。
2026年の改正は一歩前進。でも、私はこれで十分とは思わない。
法定養育費ができたこと、養育費債権に先取特権が認められたこと、これは以前より前進しています。
でも、養育費を受け取る権利を作ることと、実際に受け取れる仕組みを作ることは別だと思います。
制度があっても養育親が自分で手続きをしなければならない、相手の職場や財産がわからなければ回収できない、支払いが止まればまた連絡を取らなければならない。
このような状態では、子育てをしている側の負担はまだ大きいままです。
海外の制度を見ると、日本にもまだやらなければいけないことがあるように感じます。
まとめ|養育費は元夫婦の問題ではなく、子どもの生活の問題
2026年4月、日本では養育費制度が大きく前進しました。
しかし、海外を見ると、行政が養育費の徴収そのものに介入する国があります。
私が12年間の経験を経て思うのは、養育費を払うかどうかを親個人の善意に任せない仕組みが必要なのではないかということです。
親同士の仲がよくても悪くても、連絡を取っていても絶縁していても、子どもの生活に必要なお金は変わりません。
だから養育費は、元夫婦間の揉めごとではなく、子どもの生活を社会としてどう保障するかという問題として考えたいところです。
※法制度は今後も運用・解釈が変わり得ます。この記事は2026年7月時点の公的情報をもとに制作しています。










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