前回の記事ではフランスのスーパーなどで見かけるBIOと、ABマーク、EUオーガニックロゴについて紹介しました。
今回は日本の有機JASとの比較をしてみます。
日本にも有機やオーガニックを表示するための制度があります。
一方、EUにはユーロリーフと呼ばれるオーガニック制度があります。
どちらも単に「農薬を使っていない商品」という意味ではありません。
生産方法、使用できる資材、遺伝子組換え技術、加工、認証、表示などについて、それぞれのルールがあります。
この記事では、日本の有機JASとEUのオーガニック認証について、何が共通していて、何が違うのかを公的な基準をもとに比較してみます。

はじめまして、紗良です。
仏式自然療法・植物療法研究家として、フランスの植物療法や精油文化について学び、発信しています。
✅ 日本の有機JASとは?
✅ EUオーガニック認証とは?
✅ 農薬や化学肥料の考え方
✅ 遺伝子組換えは使える?
✅ 加工食品の95%ルール
✅ 認証マークと表示方法の違い
✅ 日本とEUの有機認証は相互に認められている?
✅ 買い物ではどこを見ればいい?
日本の有機JASとは?
日本で農産物や対象となる加工食品などに「有機」や「オーガニック」と表示するために使用されているのが、有機JAS制度です。
登録認証期間が、有機JASが定める生産方法などに適合しているかを検査し、認証された事業者だけが有機JASマークを付けることができます。
対象となる食品では、有機JASマークを付けなければ「有機」や「オーガニック」と表示することはできません。
EUのオーガニック認証とは?
EUには、有機農業や有機食品について、連合国間の共通ルールがあります。
緑色の背景に星が葉っぱの形に並んだロゴが、EUオーガニックロゴ(ユーロリーフ)です。
EU域内で生産・販売される対象の包装済み有機食品では、原則としてこのロゴが表示されます。
ロゴの近くには、認証・管理機関のコードや農業原料の生産地域も表示されます。


日本とEU、基本的な考え方はかなり近い
日本の有機JASとEUオーガニック制度は、細かい規制や運用まで完全に同じではありません。
でも、大きな方向性には共通点があります。
- 化学合成された農薬や肥料への依存を抑える
- 使用できる資材を限定する
- 遺伝子組換え技術を認めない
- 生産だけでなく加工や管理も対象にする
- 第三者による認証・管理を行う
という考え方です。
日本の有機農産物では、播種・植付け前から一定期間、禁止された化学肥料・化学合成農薬を使用せず、組換えDNA技術や放射線照射を行わないことなどが求められます。
EUでも外部投入物を抑え、使用できる農薬・肥料・食品添加物等を承認リストで管理しています。
オーガニック≠農薬を一切使わない
有機JASでもEUオーガニックでも、農薬を一切使わないという決まりはありません。
基本的には化学合成農薬や化学肥料などへの依存を避けますが、制度上使用を認められている資材もあります。
つまり、オーガニック=完全無農薬ではないということです。
有機やオーガニックは、生産方法について一定の基準を満たしたことを示すもの。
農薬ゼロ、添加物ゼロ、栄養価が高いという意味ではありません。
遺伝子組換え技術は、日本もEUも認めていない
有機JASでは、有機農産物の生産に組換えDNA技術を利用しないことが定められています。
加工食品や資材についても、遺伝子組換え技術に関する制限があります。
EUの有機制度でも、遺伝子組換え生物(GMO)の使用は有機生産の考え方と合わないものとして扱われます。
ここは日本とEUの共通点です。
加工食品は、日本もEUも95%以上が大きな基準
前回、EUオーガニック食品では、農業由来原料の少なくとも95%が有機であればよいというルールを紹介しました。
実は日本の有機JASにもよく似た基準があります。
日本の有機加工食品では、水と食塩を除く原材料について、95%以上が有機であることが基本です。
EUでも有機食品としてユーロリーフを表示するには、農業由来原料の少なくとも95%が有機である必要があります。
日本:水と食塩を除く原材料の95%以上
EU:農業由来原料の95%以上
どちらも「残りの5%は何でも自由」という意味ではありません。
一番わかりやすい違いはマークと表示方法
| 日本 | EU | |
|---|---|---|
| 主なマーク | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
| 制度 | 日本のJAS制度 | EU共有の有機規則 |
| 認証 | 登録認証機関 | 認可された管理機関・ 認証機関 |
| 対象食品での 有機表示 | 有機JASマークの 添付必須 | 規則に適合した 製品に添付必須 |
| 加工食品 | 原則95%以上 | 原則95%以上 |
| GMO | 原則不可 | 原則不可 |
| ロゴ周辺の 産地表示 | EUのような 統一様式はない | 管理機関コード+農業 原料産地の記載必須 |
| ロゴ | 日本独自 | EU連合国内で共通 |
消費者として一番わかりやすい違いは、商品を手に取ったときの表示です。
EUではユーロリーフの隣に管理機関コード、EU Agriculture、non-EU Agricultureなどが表示されます。
つまり、認証マークだけではなく、誰が管理したのか、農業原料がどこから来たのかまでパッケージ上で確認できます。
日本とEUは「有機同等性」を認め合っている
日本とEUには、それぞれ別の有機認証制度があります。
では、日本の有機JAS商品をEUへ輸出するとき、全部EUで一から認証し直す必要があるのかと聞かれると、一定の範囲での有機同等性を認めています。
条件を満たした有機JAS認証商品は、必要な手続きを行うことでEUへ有機商品として輸出できます。
逆についても同等性制度があります。



はじめまして、紗良です。
仏式自然療法・植物療法研究家として、フランスの植物療法や精油文化について学び、発信しています。
では、有機JASとEU認証はどちらが厳しい?
EUの方が上、日本の方が下のように単純に順位を付けることはできません。
対象項目や使用可能資材、畜産、加工、輸入、表示など、それぞれ制度設計が異なるからです。
そして日本とEUが有機同等性を認めていることからも、少なくとも片方が有機認証として成立しないほど緩いという関係ではありません。
比較するときは何について厳しいのかを見る方を大切にしたいです。
オーガニック認証が保証していないことも知っておきたい
日本でもEUでもオーガニック認証が付いていれば、この食品は健康にいいと保証されるわけではありません。
例えば、糖分が多い、塩分が多い、脂質が多い、高カロリーなオーガニック食品もあります。
また、オーガニック認証=添加物ゼロでもありません。
認証はあくまでも定められた有機生産・加工基準への適合を示すものです。


EUでは栄養評価とオーガニック認証は別の情報として見ることができます。
BIOでもNutri-ScoreがDやEになることはあり得ます。
買い物ではオーガニックという文字だけで判断しない
私は、オーガニックの商品を選ぶことがあります。
でも、オーガニックだから無条件でいいとは考えていません。
例えば食品なら、認証マーク、原材料、産地、栄養成分、価格、自分が食べたいかどうかを見ます。
認証制度を知る目的は、このマークが付いているものなら絶対安心だと考えるためではなく、そのマークが何を保証していて、何を保証していないのかを理解するためだと思っています。
情報を知った上で、自分が何を大切にするかを決める。
それが商品を選ぶときの一番大切なことだと思います。
フランスでBIO商品を見る目が少し変わった
フランスのスーパーへ行くと、BIOという文字が日常的に目に入ります。
その制度を知ると、ユーロリーフを見て選ぶだけではなく、管理機関コードや産地を見たり、Nutri-Scoreや原材料を見たりするようになり、ひとつの商品から色々な情報が読めるようになります。
スーパーの棚がもっと楽しんで見ることができるようになるんです^^


まとめ|日本とEU、マークは違っても有機の考え方には共通点がある
日本の有機JASとEUのオーガニック認証は、制度や表示方法に違いがあります。
でも、
- 認証された事業者・商品だけが有機と表示できる
- 化学合成農薬や化学合成肥料などへの依存を抑える
- 遺伝子組換え技術は不可
- 加工食品では95%以上を基準とする
など、共通する考え方も多くあります。










コメント